自我状態の二次構造/言語科学心療士養成講座(2017/4/21開催)

こんにちは!

昨日、第10回目の「言語科学心療士養成講座(上級クラス)」を開催しました。

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

 

今回は、以下のテーマについて講義を行いました。

・自我心理学から自己心理学へ(動画視聴)

・交流分析の理論「自我状態の二次構造」

 

 

本日は、テキストで勉強した「自我状態の二次構造」について解説します!

 

まずは、自我状態について振り返ってみましょう。

交流分析では、ある時点での個人のパーソナリティー(思考・感情・行動のセット)を、自我状態モデルを使って説明します。

 

最も基本的な自我状態モデルは、「一次構造モデル」です。

その内容は、下の図を参考にしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、本題の「二次構造」について考えてみましょう。

 

自我状態の二次構造は、上述の一次構造を、さらに細分化したものと考えることができます。

つまり、自我状態の中に何が入っているのか、“内容”を検討するためのモデルです。

 

人はそれぞれ、幼い頃から異なる環境で育ち、独自のパーソナリティーを形成していきます。

その“内容”を検討する際に役立つのが二次構造モデルということです。

 

まずは、全体像を見てみましょう。

自我状態の二次構造は、下の図のように示されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、二次構造モデルを使いながら、C2P2の自我状態の形成過程を見ていきましょう。

A2は、それ以上の区分けはないので割愛します。

 

 

(1)C2の成り立ち

生まれて間もない赤ちゃんや幼い子どもは、P2A2の自我状態が未発達です。

親の思考・感情・行動を取り入れるには幼すぎますし、大人のような合理的な判断力が無いのは当然のこと。

そのため、親からのメッセージのほとんどを、C2の自我状態で受け取って反応を示します。

 

そんなC2の中身を見てみると、図のようにP1(魔法の親)A1(小さな教授)C1(身体的子ども)の3つから構成されていると考えられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 

<P1について>

P1には、まだP2A2が発達していない幼児期に親から与えられたメッセージが入っています。

 

このメッセージは、言語的なものよりは非言語的なものである場合が多いでしょう。

この時点では、子どもはA2が発達していない未熟な状態ですから、P1に入った親からのメッセージを、歪曲して受け取ってしまうことがあります。

 

例えば、幼い子どもが泣いたとき、お母さんが困ってしまった場面を想像してみてください。

このとき子どもは、親からの「泣かれたら困ってしまう」というメッセージをP1に受け取りますが、実際より飛躍して「泣いたらお母さんに見捨てられる」と受け取るかもしれません。

子どもというのは、純粋であるがゆえに、そういうところがあるものです。

 

このように、現実とは乖離したメッセージを与える源になり得ることから、P1「魔法の親」と呼ばれたりもします。

 

 

<C1について>

C1は、子ども時代の体験そのものです。

 

上述の事例で言えば、「泣いたらお母さんに見捨てられる」と受け取った子どもは、大きな不安や恐怖感を抱く体験をしたかもしれません。

これらの体験がC1に蓄えられていきます。

 

私たちが大人になってからも、C1に記憶されているのと同じような状況に出会うと、無意識のうちに幼い頃の反応を再演してしまうのは、このためです。

 

 

<A1について>

A1は、子どもが問題解決のために持っている戦略すべての総称です。

 

当然ながら、まだ幼く未熟であるため、論理的な戦略を立てることは難しく、直感瞬間的な印象で判断します。

そのため、この部分は「小さな教授」と呼ばれます。

 

さらに深く考えてみましょう。

私たちが成長の過程で身に付けていく「禁止令」の決断は、このA1の働きによるものです。

 

ここでも先程の事例を使って考えてみましょう。

子どもは、P1の「泣いたらお母さんに見捨てられる」というメッセージを受け取っていました。

しかし、まだ現実吟味をする能力が未熟なため、なぜ泣いただけでそんな目に合うのかが理解できません。

それと同時に、C1では「見捨てられる」という、極めて恐ろしい体験を味わっているのです。

 

そんな子どもは、P1のメッセージとC1の恐怖体験の間の葛藤で、非常に不快な感覚に陥ります。

簡単に表現すると、「わけが分からず混乱し、ただただ恐怖の波が襲ってくる」そんな感じでしょうか。

 

そこで、自分の置かれている状況を“理由付け”し、自分の中で理解をするために、「禁止令」を創り出すのです。

 

「そうか!僕は重要な存在ではないんだ。だから見捨てられるかもしれないんだ!」

 

こうして「重要であるな」の禁止令ができあがりました。

子どもたちは、親からの保護や承認を受けるために、このような切ない戦略をとらざるを得ないのです。

 

 

【発展】

さらに深い内容についてもお話ししましょう。

 

C1は、子ども時代の体験そのものだとお伝えしました。

そんなC1のさらに奥深くに入っていくと…

そこには幼い子ども時代よりさらに前の、乳児期の情報が格納されていると考えられています。

それらは、下図の通り、P0A0C0で表されます。

 

乳児期のみならず、胎児の頃の情報まで入っているという説もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)P2の成り立ち

P2には、一次構造の図にも書いたように、親や親的な役割を果たした人から取り入れたものが貯蔵されています。

二次構造モデルでは、P2の中に、P3(「親」の中の「親」) 、A3(「親」の中の「成人」)、C3(「親」の中の「子ども」)と表記されます。

 

親や親的役割を果たした人たちのPACがそのまま入っているイメージをすると、分かりやすいかもしれません。

縦にPACがワンセットで一人分、これが何人分も入っているということですね。

 

 

 

いかがでしたか?

自我状態の二次構造は少し複雑なところもあり、難しく感じる人もいるかもしれませんね。

 

カウンセラーがクライアントと向き合っていく際には、クライアントの自我状態を創り上げているものに対する理解を欠くことはできません。

「自我状態の二次構造」に対する理解を深め、応用できるようになりたいものです。

 

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 


 

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